長年の夫婦生活を我慢してきて、子どもが独立したので、
自分のために人生を送りたいと考える妻は少なくありません。
離婚自体は話し合いで合意ができればそう難しくはありませんが、
離婚に伴う財産分与や慰謝料の額を決めるとなると、そう簡単にはまとまりません。
離婚協議の最中は、感情的になりがちですが、その後の生活の為にも、
もらえるお金のポイントをしっかり抑えて交渉することが大切です。
離婚の際に、妻が夫に請求できるお金は、主に慰謝料、財産分与、養育費の3つです。
熟年離婚の場合、大きく関わってくるのは財産分与と慰謝料です。
財産分与に関しては、2人で築き上げてきた財産を、
貢献度に応じて分けることになりますので、最大で5割まで請求する権利があります。
これは退職金にも当てはまります。
また、2007年からは離婚時の年金分割制度がスタートし、
サラリーマンや公務員の夫と離婚した場合、
夫の老齢厚生年金の半分を妻が受け取れるようになりました。
しかし、注意しなければならないのは、
対象となるのは、結婚期間中に納めた保険料の部分だけです。
分割されるのは結婚年数分だけなので、結婚年数が短ければ、
それだけもらえる額面も減るということになります。
そして、すんなりと離婚に応じて財産、ましてや慰謝料を払ってくれる夫は多くありません。
慰謝料は離婚の原因をつくった方が支払うもので、
例えば夫が浮気した場合だとか、DVがあったなど、
夫側の原因で離婚することになった場合に請求することができます。
しかし、性格の不一致だけでは離婚の理由にはなりません。
さらに夫が離婚を拒否した場合は、慰謝料をもらうこと自体難しくなりますので、
とにかく離婚したい場合は、「慰謝料はいらないから、離婚してください」
という交渉が必要になるケースもあります。
協議離婚が成立しないときは家庭裁判所の調停となり、
調停でも合意ができなければ裁判になりますが、裁判の場合は、
不貞行為や悪意の遺棄など、法律に定められた理由がないと、一般的には認められません。
しかも金額は意外に少なく、サラリーマンの夫が離婚時に妻に支払った額を
統計で見ると、慰謝料は200万円前後が相場です。
財産分与と慰謝料を合わせて200万~500万円が一般とされています。
離婚後は、これと、自分の国民年金を合わせて、生活していくことになります。
ちなみに、慰謝料として受け取ったお金には所得税や贈与税はかかりません。
財産分与も、共有していたものを分割するだけですので、課税はありません。