定年後破産。
なんて酷い響きでしょうか。
普通のサラリーマンでも赤字に転落するケースはあります。
1度目は大学進学など子供の教育費がかさむ時期ですが、
そこを乗り越えたとしても、まだ安心はできません。
2度目の危機は、ようやくホッとできるはずの「定年退職後」にやってきます。
頼みの年金(老齢厚生年金)の支給開始年齢が段階的に繰り下げられ、
男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降に生まれた人は、
65歳にならないとまったくもらえません。
60歳で定年退職を迎えると65歳までの5年間は
年金が支給されない空白期間が生じるということになります。
現在39歳で年収600万円のサラリーマンがいたとして、幸いにも65歳まで継続雇用されたとします。
それでも継続雇用時の月収は現役時より下がり、15万円といったところ。
退職金は1500万円入り収入は一時的に急増しますが、
収入が支出を上回ることはなく、あとは預貯金を食いつぶしていくしかありません。
総務省の家計調査によると、
退職後の世帯は平均で毎月4万円余りを貯蓄から取り崩しているとされます。
つまり、定年退職後は年金をもらってもそれを上回る支出があり、
恒常的に赤字が続いていくのが平均的姿なのです。
退職金で住宅ローンを一括返済することはせず、
老後資金のために少しでも手元に置いておこうと考えた場合でも、
67歳で預貯金は底をついてしまいます。
そして残念ながら、老後は年を重ねるにつれ、
赤字が雪だるま式に膨らんでいくだけになってしまうのです。
サラリーマンが自分たちの老後資金を貯めるためには、
子育てに追われる間はなかなか難しいのが実状。
そうである以上、教育費などがかからなくなる子どもの独立後から
定年退職するまでの間に何ができるか、それが勝負の分かれ目といえるでしょう。