最終的には皆病気になるから

今私は透析科というクリニックで勤務しています。

病気の原因から先天的な疾患で無い方の多くは糖尿病からの併発だったりします。

ですので通われている方の多くは所謂老人と言われる60歳~90歳の方が多いです。

 

この疾患に罹患する方は若い時代いい食生活をしていた方も多くいます。

80歳代女性は自分で料理店を経営しており、家にはお抱えのシェフがいます。

毎日その季節その時食べたい物や透析食に合わせて食事を作ってくれるみたいです。

中元、歳暮の時期には必ずスタッフに菓子を持ってきて下さっていました。

 

透析の治療を受けにくるのにも毎回きちんと化粧をし、指には数個の指輪をしてきます。

心電図やレントゲンの検査で旨を晒さないといけない時は

その時用の下着を着用するので事前に言わないと突然検査はさせてくれませんでした。

 

60歳代男性、結婚もしておらず、認知症もありますが、独居で生活しています。

外出しても一体どこにいくつもりだったのか途中で分からなくなり迷子になります。

透析は水分管理が大変重要になってきますが、何度説明しても本人に覚える気力も、

能力もなく毎回驚く様な体重で来ます。

 

そうすると治療自体が危険になり、毎回苦痛な透析をしています。

しかし、それはその事を理解出来ない認知症と言う疾患と

それを管理してくれる家族がいない環境のせいでもあります。

その為、週に3回はヘルパーや訪問看護師が入り服薬の管理をしています。

 

70歳男性、所謂ホームレス上がりです。

生活保護を受け、お金が入ればお酒を飲み暴れては怪我をして透析にきます。

薬もきちんと飲めて居らず、結婚も3回されていますが、3回とも別れています。

一緒に住んでくれる家族はいません。

ご飯はお酒とアテだけです。

男性スタッフには暴言を吐き、女性スタッフしか話もしません。

 

70歳女性、認知症が酷く、出身地も調子がいい時しか言えません。

施設で暮らされて7年目になります。

スタッフにニコニコ挨拶をし凄く好かれている方です。

家族もいますが、少し離れた所に暮らしています。

週末になると会いに来るようです。

 

この様な色んな生活背景が見え隠れします。

ふと自分もいつか年老いた時にはどんな風になっているのだろうと考えます。

主人とは9歳離れていますので、単純に平均寿命でいうと主人が亡くなったら

15年近くは一人で暮らす事になります。

子供と一緒に生活す選択肢はありません。

今でも祖母は85歳で独居をしているのを見ているからかもしれません。

 

生活環境も心配ですが、それよりもボケてしまいたいと思っています。

しかも、お気楽なボケ方を望んでいます。

 

一言に認知症といっても症状は様々で作ってもいないのに

毎晩の夕食を作らないといけないと思いこんでいる方や、

本当に透析室を理解出来ず、スタッフは敵に見えているのではないか

という眼つきで治療を受けている人もいます。

 

その方は針を急に自分で抜こうと言う行為をします。

命にもかかわる事でとても危険です。

 

ありもしない情報を自分で勘違いしては家族に報告し家族を惑わせるような方もいます。

その方が今までの人生をどの様に過ごされてどの様に考えて何を我慢して、

結果として認知症を発症した時にその人のどの部分が露わになって残るのかなんてわかりませんが、

出来れば回りの人を幸せにするボケ方をしたいです。

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