老人ホームで働く私から見た老後の幸せとは?

3年前まで、老人ホームで働いていました。

入居されている方々にはいろいろな方がいらっしゃいましたが、

その姿から学ぶものはたくさんありました。

当時出会った方々を例に挙げながら、老後の幸せとはなにか改めて考えてみたいと思います。

 

 

資産家で、肺疾患と軽い認知症を患い入居されている女性Aさん。

ナースコールがあったので応対すると、

しばらく連絡のなかった家族が押しかけて部屋でもめているというのです。

慌てて訪室したところ、家族全員が書類片手にAさんに捺印するように迫っています。

理由を尋ねると、遺産相続のための捺印だという事。

やっとお見舞いに訪れたというのに、久しぶりに会った家族はお金の話ばかり。

Aさんはその夜うなだれて食事もろくに食べることができませんでした。

 

 

優秀な弁護士さんだったBさん。

脳梗塞を患い入所されましたが、行うことすべてに無気力で、

毎日できないことがどんどん増えていくようなありさまでした。

家族もほとんど面会に来られず、寂しさと孤独が彼をそうさせていたのかもしれません。

昨日まで弁護士として腕を振るっていた方が、

体の自由が利かなくなったからと急に老人扱いされても気持ちがついていかないのでしょう。

車いすを使用すれば行動できるのに最後にはトイレすら尿器を使用するようになってしまいました。

 

 

天涯孤独で生活保護を受けている女性Cさんはいつも元気です。

少し認知症もありますが、もともと元気で前向きな性格だったのでしょう。

施設のみんなに慕われており、認知症からなのかキャラクターからなのかはわかりませんが、

みんなを大笑いさせるような発言や行動をして雰囲気を和ませてくれます。

家族はいませんが、スタッフみんながCさんの娘や息子、孫のような存在。

彼女のまわりにはいつも冗談と笑顔があふれています。

 

 

この3つの例から考えると、老後に大切なものは

「健康な体」と「前向きで明るい気持ち」なのではないかと感じます。

「お金」や「家族」ももちろん大切な要素ではありますが、

それがあるからといって幸せが確約されるわけではけっしてありません。

まずは自分自身の健康に気を配り、老後に介護をしてもらわなくても

一人で生きていける健康状態を維持することが第一、

そしてもし不運にも体を壊してしまったら気持ちをきりかえて

前向きに生きていこうとする姿勢が大切なのではないかと思います。

 

そしてなにより「老後」という未来に不安を抱くことだけに時間を費やさずに、

今目の前にある「現在」をせいいっぱい生きることがもっとも重要なのではないでしょうか。

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