夫にとっても、妻にとっても、
定年後の生活費の確保は重要です。
夫婦一緒でも年金で暮らすのは厳しい時代です。
ましてや別居した場合の生活は、
極めて厳しいものが予想されます。
特に専業主婦の場合、自分自身の厚生年金はありません。
家を出た妻に自分から生活費を渡そうとする夫はいませんから、
別居しても生活費が確保できなければ離婚訴訟を起こすどころではありません。
生活費をどう確保するかは、
離婚したい熟年妻にとって、離婚以上に重大な問題なのです。
離婚するにあたって当面、必要になるお金の額としては、
まず協議離婚の際の弁護士費用に約50万円。
それから、1年分の家賃と、半年分の生活費を合わせた額は用意しておきたいものです。
「とてもそんな大金は用意できない・・・」という場合は、役所に相談してください。
母子家庭には、無料で入居できる、母子生活支援施設を紹介してくれます。
一方、夫にとっても、年金を妻に持っていかれるかどうかは重大な問題です。
そんなことになったら、定年後の生活は大幅に狂ってくるからです。
さらに、離婚の原因が夫にある場合は、離婚後も夫は妻を扶養する義務が発生してきます。
夫は、生活費を払わないでおけば、妻が困って帰ってくると思うかもしれませんが、
そのような妻はまずいません。
妻が生活費の請求をしても拒否されたり、話し合った金額に折り合いが合わない場合は、
妻は家庭裁判所へ生活費を請求する調停申し立てを行なうことができます。
調停で話し合っても夫が拒否したり、金額の折り合いがつかない場合は、
家庭裁判所は、審判で生活費の金額をきめて、夫に支払を命じてくれます。
家庭裁判所での生活費の基本的な考え方は、
夫婦の収入をあわせて、そこから経費を引いた残額を、夫婦半分ずつで分けることです。
その額が、熟年離婚後の生活費ということになります。