多くの人が自宅を出て暮らす理由としては、
自宅の維持に煩わしさを感じるようになったとか、
夫婦どちらかが亡くなり、不安感から一人暮らしが恐くなったケース等で
住み替えを考える傾向があるようです。
しかし、今までは、「お年寄りには貸したくない」という賃貸住宅のオーナーが多く、
お年寄り世帯または高齢の一人暮らしの人は、
賃貸住宅に入るのは難しい時代が続いていました。
そこで国土交通省が高齢者の居住対策として創設したものが
高齢者専用賃貸住宅です。
高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅」のうち、
高齢者を貸借人としる賃貸住宅を、高齢者専用賃貸住宅といいます。
高齢者専用賃貸住宅は、入居の際に賃貸借契約を結ぶため、
借家人の権利が法律で保護されていて、
事業者の倒産などがあっても住み続ける権利を主張することができます。
また、高齢者向け賃貸住宅には、都道府県に登録されているもので、
高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅、高齢者優良賃貸住宅
の3種類があります。
老後の期間は、今や30年もあります。
面倒を見てくれる人が身近にいないと不安になることもあるでしょうが、
元気な間は「おひとりさま」で生活したいという人も少なくないでしょう。
最近は食事は食堂で食べるよりも、個別の部屋で食べたいという人が増えています。
それを理由に生活リズムの決まった老人ホームではなく、高齢者専用賃貸住宅を選ぶ人もいます。
高齢者専用賃貸住宅では食事を自炊できる、
レストランを併設しているところではレストランでも食べられる、宅配もしてもらえる、
といった自由さも人気の一つになっています。
費用としては、家賃、管理費などのほかに、基礎サービス費をとるところが多く、
フロント係が宅配便やクリーニングの預かり、緊急時の対応、日常の相談にのる費用に充当しています。
夜間は職員を配置しているところや、警備保障会社やタクシー会社に
緊急コールがつながるようになっているところが多いです。
このように、「老後の住まい = 老人ホーム」と決め付けるのではなく、
介護期に備えつつ、元気な間をどう暮らすかが最大のポイントといえるでしょう。