祖母の入院体験記から得た教訓

この記事では、祖母(現88歳)が足の骨を折り、入院した出来事についてお話します。

祖母は、大怪我は絶対にしないだろう、という過信があります。

だれでも、心の中では若い気持ちなのでしょう。

しかし、身体のほうがついていかないという事実を、

無意識的にも無視してしまいがちなのかもしれません。

 

祖母はその典型的な例です。

祖母は、自分が丈夫だという矜持は人一倍ありました。

何でも億劫がる性格なのですが、だからこそ、自分は丈夫だと自認していたのかもしれません。

動かないほうが、危険を避け易いから、敢えて動かないままのほうがいいと考えるところがあるみたいです。

 

ですが、全く動かないわけではありません。

祖母は独居なのですが、必要最低限の家事はしなければなりません。

また、別居している家族の説得から、促されて活動的になったりもします。

ですが、基本的には億劫です。

 

ある時、一度も転んだことのない玄関の土間で、偶々転んでしまいました。

敢えて動かないことで危険を避けようとする祖母にとって、

必要最低限の動作で転倒したことは、大きなショックだったのです。

 

この怪我は、祖母にとって、最も大きな怪我でした。

心理的にも、自分の矜持が揺らいでしまったのです。

 

3ヶ月の入院をしました。

入院した最初の時期は、自分自身の身に起きた現実を受け入れられませんでした。

憤っており、ナースさんに暴言を吐く始末でした。

また、急に悶々として鬱ぎ込むことも。

現実の受容には、これほど時間がかかるものなのだと、私は思い知らされました。

 

高齢で、治るのも遅いのです。

身体的な怪我ですが、それ以上に心理的な怪我のほうが上回っていたのです。

祖母の面倒を見る我々家族にとっては、最も高齢である祖母の気持ちを理解できないかもしれません。

祖母の年齢を経験するのは未来です。

祖母の年齢の気持ちは推量するほかなく、家族に対しても孤独感を募らせる気持ちがあることが感じられました。

 

同年代の友人でなければ、理解しがたいのでしょう。

幸いにも祖母は、隣のベットに来た同年代の仲間と打ち解けて話が出来るようになりました。

これは、祖母よりも年下の家族では敵わないことです。

老後の暮らしでは、ちょっとした、自分が予想もしないことで怪我をしてしまうことがあるでしょう。

これは、本人も家族も驚いてしまうことです。

ですがその時に、より治りにくくて重大なのは、心理的な怪我なのです。

これは祖母から学んだことです。

 

我々家族は、自分自身が年老いた時に感じる怪我の痛みは、

身体的なもの以上に、心理的な怪我が大きいのだと実感しました。

そして、同年代の心を開ける友人の存在の大きさを思い知ったのです。

 

我々家族は、祖母が同年代の友人を作る手伝いを積極的にするべきではないのか、と感じました。

祖母がそんな友人を作れるように促すことが、家族の課題となりました。

それから何よりも、自分が年老いた時にも、同年代の友人を作り続けることは、

最も大切なことだと気付いたのです。

皆さんには、いくつになっても同年代の友人を作り続けることは大切なことであると、力説致します。

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