私のおばあちゃんは現在、91歳です。
90歳から老人ホームに入って暮らしています。
老人ホームに入る前は、市町村が運営しているアパートで一人暮らしを20年間していました。
老人ホームに入ることになったきっかけは、認知症になってしまったからです。
自分が何を食べたか忘れてしまい、
トイレに行ったことも忘れてしまい、
今、自分が誰と話しているかを忘れてしまいました。
そういう状態になってしまった私のおばあちゃんは、
とても一人では生活していくことができません。
私の実家はとても小さいので、父と母が住むだけで精一杯です。
だから、おばあちゃんには老人ホームに入ってもらおう。ということになったわけです。
けれども、すぐに入居できる老人ホームが見つかるわけではありませんでした。
老人ホームを探している間にも、おばあちゃんの認知症は進んで、
要介護認定のグレードも上がっていったのですが、
入れる老人ホームに空きが無く、いつ空くのかわからないので
あてもなくおばあちゃんの入居先を探していました。
老人ホームは、一般のマンションやアパートと違って一度入居した後は、
そこが入居者にとっての終の棲家となるのだ。ということを実感しました。
市営アパートで暮らしているときの家賃は、入居者の収入に応じて決められるのですが
おばあちゃんは年金収入しかありませんでしたから、家賃は一月3万円でした。
探し始めて1年後に見つかった老人ホームの家賃は、一月20万円になります。
おばあちゃんは年金を多くもらっているほうなので、
一月20万円の家賃はなんとか払えていますが、
自分がおばあちゃんと同じ年齢になったときには、
老人ホームに入ることはできないだろうと思いました。
90歳から老人ホームに入って、暮らし始めたおばあちゃんですが、
なかなか退屈な毎日を送っているようです。
おばあちゃんの入っている老人ホームでは、散歩の時間があまりないみたいでした。
自由な外出をできるようにしてしまうと、認知症のおばあちゃんは
どこかにいったきり帰ってこられなくなるので、玄関はいつも閉まっています。
私が会いに行く、おばあちゃんはいつも「外に連れて行って」と散歩をせがみます。
私はおばあちゃんを車に乗せて、老人ホームの周辺をドライブします。
畑しかない風景が続きますが、おばあちゃんは満足しているようです。
そんなおばあちゃんは、隣で運転している人が誰なのかわかっていません。
ドライブが終わっておばあちゃんを部屋につれていくと、
「おばあちゃんはいつお家に帰れるの?」
と私に聞いてくるのですが、私はいつもなんて答えたらよいか悩みます。